先日の「蓄電システムをDIY。ポータブル電源より快適に。」で感想などを書きましたが、今回は蓄電システムの構成や、設置した場所、使用した部材など詳しく書いていきます。
※ちなみに蓄電システムを設置する場合、屋内配線工事を行うので第2種電気工事士の資格が必要です。
蓄電システムの構想
蓄電システムを設置するにあたり、初めに構想を考えなければいけません。
蓄電池をどのような状況で使用したいか、もしくは予算がどのくらいまで出せるかで蓄電システムの構成が変わります。
蓄電システムの構成図
イメージを湧きやすくするため、構成図を書きました。
我が家は「3.78kWの太陽光発電システム」を導入していますが、もう卒FITしており売電価格が安くなっています。
既存のソーラーパネルを利用しようかと迷いましたが、技術的な問題と予算の問題で太陽光発電システムとは別系統で設置することにしました。
負荷タイプを選ぶ
蓄電システムには「全負荷型」と「特定負荷型」の2つのタイプがあり、「全負荷型」は家全体を蓄電池で動かすことができるシステムで、「特定負荷型」は特定の部屋や特定の機器など蓄電池で動かすことのできるシステムです。
どちらのタイプも一長一短があります。
◉「全負荷型」は停電になっても普段と変わらない電気の使用ができ便利ですが、使いすぎて蓄電池が早く切れたり、蓄電池容量も大きくなるので初期費用が高くなってしまいます。
◉「特定負荷型」は停電時に使用したい機器のみの使用なので、やや不便さはありますが、長時間稼働させることが出来ますし、初期費用も低くできます。
今回我が家では、停電時に生活するための最低限の家電が使用できれば良いと思っていますし、予算も最低限で済ませたかったので「特定負荷型」のタイプに決めました。
しかも我が家はオール電化ではなく、給湯は灯油ボイラー、コンロはプロパンガスなので「特定負荷型」で十分ですし、今更ながらうまく分散できていると思いました。
※負荷のタイプによって畜電池容量やハイブリッドインバーターの機種などが変わるので、初めに決める必要があります。
蓄電池の種類と容量の選定
蓄電池の種類
蓄電池といっても種類があり、種類によって価格も全然違ってきます。
蓄電池の主な種類は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、NAS電池の4つです。
その中でも家庭用蓄電池として多く使用されているのが、リチウムイオン電池です。
リチウムイオン電池にも8つほど種類があり、安全性が高く最近のポータブル電源にも採用されており、DIYでも多く利用されているのがリン酸鉄リチウムイオンバッテリーです。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは個人でも購入できますし、サイズや容量の種類も多いのでリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを購入することに決めました。
蓄電池の容量
家庭用蓄電池は5kWh~7kWh程度の容量が一般的です。
我が家にあるポータブル電源の容量が約2kWhあるので、初めての設置ですし予算的にも5kWhあれば十分かなと思ったので、5kWhの容量のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを購入することに決めました。
使用したい機器を考える
停電時に絶対必要な家電と、使えると嬉しい家電を分けて考えてみました。
災害などで停電すると不便になるのはもちろんですが、不安な気持ちにもなります。
そこで必要最低限でも電気が使えると不便さも減り、不安な気持ちも少しは減ると思います。
停電時に絶対使いたい家電
停電時に絶対利用したい家電は、冷蔵庫とタンクレストイレです。
冷蔵庫の中に入っているものが早々にダメになってしまうので、冷蔵庫は絶対に使いたい。
我が家のタンクレストイレは電気で水栓を開閉するので、停電になってしまうとトイレの水が流れません。※最近のタンクレストイレは停電しても手動で水を流せるようになっていますが、我が家のトイレにはその機能がありませんでした。
トイレに行く度に小さなポータブル電源を持っていくのが大変なので、トイレも絶対に使いたいです。
停電時に使えると嬉しい家電
停電時に使えたら良いなと思う家電は、灯油の給湯器、Wi-Fiルーター、照明、洗濯機です。
断水にならない限り、お風呂も入れますし洗濯も可能。
照明はトイレ、バスルーム、キッチンが点けば十分です。
Wi-Fiルーターは子供の暇つぶしのためにあると便利なので。
取り付け場所の確認
蓄電システムのハイブリッドインバーター、蓄電池、ソーラーパネルの設置場所をどこにするか考えます。
屋外か屋内か
屋外と屋内では、安全性で言うと屋外の方が安全だと思いますが、バッテリーを格納するための収納庫や、ケーブルが長くなってしまうためコストがかかってしまいます。
そのため蓄電池などの設置は屋内にすることに。
分電盤の近くがベスト
屋内の設置場所は分電盤に近いほうがケーブルを節約できますし、点検などもやりやすいので、分電盤の近くに設置することにしました。
ソーラーパネルはテラスの屋根の上
ソーラーパネルだけは屋内に設置すると意味がないので、屋外に設置します。
我が家は屋根瓦なので、設置するには瓦の加工などが必要で難しそうなためテラスの屋根に設置することにしました。
使用機器と材料の紹介
購入した製品と関連部材の購入価格の紹介です。
ハイブリッドインバーター
ハイブリッドインバーターは特定負荷型のシステムにするので、定格出力3000Wでバッテリー電圧24Vのタイプにしました。
- ハイブリッドインバーター「SRNE」HF2430U60-100 48,952円
- cv5.5 2芯 ケーブル 600V CV 5.5SQx2C 15m 4,170円
蓄電池
ハイブリッドインバーターの仕様が24Vタイプなので、12V のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを2個購入して直列で接続します。
24Vタイプのバッテリーもありましたが、価格が3万円ぐらい高くなってしまうので12V タイプを2個にしました。
- リン酸鉄リチウムイオンバッテリー
「Ampere Time」 12V 200Ah 2個と20A充電器 203,817円 - KIVケーブル 22sq 2mを2本 7,000円
ソーラーパネル
ハイブリッドインバーターの仕様が、PV動作電圧範囲が30-100V、最大出力電力が1400Wなので、その範囲に収まるようなソーラーパネルを探しました。
- 太陽光パネル
「ブルーサンソーラー」 【単結晶415W】 BSM415PM5-60SB 48,400円 - 架台
「ネグロス電工」 ワールドダクター(ダクターチャンネル 穴あきタイプ) 全長2.5m 16D1R 4本 8,756円 - JPF ボルトスクリュー BS890P (16本入) BS890P ねじ固定式アンカー 2セット 3,746円
- ジョー・プリンス竹下 パネル押さえ板(片側) 寸法30mm 1個 PT-918-6 12個 3,023円
- エンゼル工業株式会社 ソーラーケーブル 20m MC4コネクタ(正規品)片端付 H-CV 3.5sq 黒色 600V (+)(-)セット 5,900円
分電盤周り
特定負荷型にするため、工事や管理しやすいように分電盤を増設しました。
また、ハイブリッドインバーターが故障した場合も考えて、電源切替開閉器を導入しました。
- BQWB32342 パナソニック 単2住宅分電盤 (単2、4回路、スペース2回路) 4,348円
- 未来工業 ウオルボックス 屋根無・ヨコ型 有効フカサ106 ミルキーホワイト 1個 WB-12AOM 3,100円
- パナソニック(Panasonic) 安全ブレーカ HB型 2PIE 30A BS1113 3個 2,964円
- 日東工業 切替開閉器 DS322P30A 6,600円
- YAZAKI製 アース線 緑色 2.0mm 【ケーブル長】10.0m 1,600円
その他
上記で紹介した以外に各種圧着端子、VVFケーブル、ビス、ボルト、ナットなどを使用しました。
おわりに
蓄電システムの構想を練り、予算を40万円以内で設置することができました。
また、実際に取り付け作業をしていくと予想外に必要な物がでてくるので、予算は2~3万円多めに見ていたほうが良いです。
次回は実際に取り付けたところなどを詳しく書いていくつもりです。